エコツーリズムと自然保護について考えるためのブログ。<ダーウィンが、ガラパゴス諸島ではなく、ハワイ諸島で進化論を提唱していたら、ハワイの開発や観光のあり方も異なっていたかもしれない・・・>

風の旅行社さんの「風・通信No28」(2006年秋号)に寄せた原稿


太平洋を渡り、たどり着いたのはハワイ。


私が初めてハワイに来たのは15歳の時でした。アメリカ本土でホームステイをした帰りにオアフ島に立ち寄ったからです。お土産を買った思い出しか残っていません。次は18歳の時。オアフ島で学生生活を送りました。当時のハワイの思いでは、心地よい気候、海、ショッピング、友達と過ごした楽しい時間などです。再びハワイに戻ってきたのは23歳の時。オアフ島ではなくハワイ島。そして観光客が多いコナではなくヒロ。


ハワイ島に移ってきてから現在まで、3人の娘を育て、仕事に励み、人生の山や谷を超えてきました。無我夢中で頑張った時期には気が付かなかったけれど、今振り返ってみると、直接的にも間接的にも、この島からたくさんエネルギーを与えてもらっていたのだと実感できます。


リゾート観光地としてのハワイには興味がない私にとって、ハワイ島の東側は、とても住み心地のよいところです。


ハワイ島の魅力。


10代、20代のころの私よりも、現在の私のほうが、もっとハワイに惚れ込んでいます。それは、長い歴史に育まれた固有の自然に出合うことにより、自然の力と不思議さに魅せられたからなのです。33歳でハイキングするようになり、それがきっかけで、火山について、植物について、鳥について興味が湧き出し始め、それ以降、止まらなくなってしまったのです。固有種の植物たち、そして固有種の鳥たち・・・これこそ、ハワイの誇りです。


ハワイ諸島は、海底火山の活動によって誕生し、今もなお北西へ移動している島々で、地理的には、世界で一番孤立しています。そのため独自の進化を遂げた固有種が多く存在します。天敵になるような大型の哺乳類が存在しなかったので、毒や棘を失ってしまった植物、クチバシが餌となる食物に合うような大きさや形へと進化した鳥たちなど、不思議な種が多いのです。また、ハワイ諸島の島々は、それぞれ古さがちがい、地形が異なるだけではなく、鳥や植物の中には、島によって異なるものもあります。


北東から吹く貿易風により、島の北東部に雨が降ります。季節によっては、南西から吹くコナウインドにより、島の南西部に雨が降ります。ハワイ島には4000mを越える山が2つもあるので、風上と風下での気候の差だけではなく、標高による気候の差があるので、緑豊かな雨林もあれば、乾燥した地帯もあり、熱帯もあれば、寒帯もあるので、まるで「ミニ大陸」のようです。多様な地形と気候、植生の変化を見るのが、とても面白いのです。


年間、何万百人という観光客がハワイを訪れています。オアフ島だけではなく、他の島も訪れる人が増えていますが、それでも主な目的は、これまでの傾向と変わりなく、リゾート観光です。一般観光客が頭に浮かべる「ハワイらしい」イメージに造り上げた人工的な美と快適感で満足し、ツアーに参加したり、レンタカーをドライブしても、日本にはない「景色を楽しむ」だけで帰ってしまう人が多いようです。


また、外来種の草が一面に生えた大地を見て、人工的構造物がないので「手付かずの自然だ」と誤解していたり、ホテルや町の中などで見かける、アフリカ産やアジア産や南米産の色鮮やかな花を見て、「南国ハワイの花」だと誤解していたり・・・というケースが多いのではないでしょうか。実際、ハワイ島でも、農地、牧場、住宅地、ゴルフ場、リゾート施設などのために開発された場所では、人間が持ち込んだ多種多様な植物がほとんどです。


イギリスの自然学者、チャールズ・ダーウィンが、ガラパゴス諸島ではなく、ハワイ諸島で進化論を提唱していたら、ハワイ諸島の開発に対する考え方、観光のあり方も異なっていたかもしれないですね、とても残念でならないです。


ただ自然を訪れるだけではなく、一歩踏み込んで深く知ることにより、今まで呆然と平面的に見えていた風景が立体的に見えてくる。景色の一部分として眺めていた動植物が個性を持って、生き生きと見えくる。自然や文化を大切にしようという気持ちや、保全活動に協力しようという気持ちが生まれてくる。そんな体験がエコツアーです。


知ることによってさらに大きな喜びを感じる有意義な旅です。ただ見るだけではなく、聞いたり、手で触れたり、匂いを嗅でみたり、五感を使い、時には第六感にも使って、自然との一体感を感じ、自然の面白さや不思議さを発見し体験します。それがエコツアーです。


私は、ハワイを訪れる人々に、ハワイの自然につてもっと知ってほしい、ハワイの自然が秘める不思議さをじっくりと観察してほしいという強い気持ちと、こだわりを持ってハワイ島でエコツアーを企画し案内しています。


ハワイ島では、現在も火山活動が続いているので、地球の鼓動を感じ取ることもできます。ぜひ、ハワイ島でお会いしましょう!


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風の旅行社 http://www.kaze-travel.co.jp/
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ギンケンソウの花ハレアカラ(標高3055m)のギンケンソウ(Argyroxiphium sandwicense ssp. macrocephalum)は、標高2100mから3055mに分布しています。人間が足でけって転がしたり、持ち帰ったり、またヤギやウシに食べられてしまったために、1920年代には非常に減少してしまいました。


しかし、1935年には個体数は約4000、1971年には43262、1979〜80年には35000、1982年には47640、1991年には64800、現在では1935年の約16倍増えています。保護されるようになってからは、素晴らしい回復率です。


開花は5月ごろから10月ごろだが、その年によって花を咲かせる個体数の数が大幅に異なる。1970年には全く咲かなかったそうだし、フィリピンのピナツボ火山が噴火した1991年には6632の固体が花を咲かせした。


ギンケンソウや他の固有植物を守るために、1976年からハレアカラ山の山頂部の周りにフェンスを取り付ける作業が始まり、1986年に完了したそうです。現在ではフェンスで取り囲んだ山頂部にはヤギは一匹もいません。


山頂部以外も含めるとフェンスを張り巡らす作業はは約85%完了していて、これまでに500万ドル以上費やしたそうで、その努力の甲斐があって、50年間ぐらい見かけなかったカヤツリグサの仲間や他の1年草も再び山頂部に生えるようになりました。


ヤギによる被害はなくなりましが、まだ別の問題が残っています。帰化植物のマレイン、または別名ビロウドモウズイカ(Verbascum thapsusファウンテングラス(Pennisetum setaceumが繁殖しないように努力しているそうです。


現在、一番大きな問題は、ギンケンソウを受粉してくれる昆虫の幼虫を食べてしまうアルゼンチンアリ(Iridomyrmex humilis)だそうで、他家受粉をする(同じ個体の花の間で、雄しべの花粉が雌しべの柱頭に付着することが自家受粉。違った個体の雌しべの柱頭に付着することが他家受粉。)ギンケンソウにとっては強敵なのです。


ハレアカラ国立公園では、ギンケンソウの固体数が増えただけではなく、以前よりも広範囲に生育するようになりました。

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アーヒナヒナマウナケア(標高4205m)のギンケンソウ(Argyroxiphium sandwicense ssp. sandwicense)は標高2700mから3750mの乾燥した高地に生息するハワイ固有の高山植物だ。葉の色や形から英語では「シルバー・ソード(銀の剣)」、ハワイ語名ではアーヒナヒナ(意味は「灰色」)と呼ばれます。


キク科(Astranceae)の一回結実性多年草で、発芽後5年から50年で花が咲き、花を咲かせた固体は、その一生を終えます。1つの固体がヒマワリを小さくしたような花を最大で500〜600個咲かせます。花は花茎の下の方から順々に開き、約3〜4週間咲いています。


ギンケンソウの祖先となる植物は、アメリカのカリフォルニアのマデフィア属(Madiinae)で、その種子がハワイに到達して、標高が高い乾燥地帯や湿地帯など様々な環境に合わせて、多様な進化を遂げました。


現在、野生の個体は約32しか残っていません。1986年3月21日に米国内務省・魚類野生動物局(US Fish and Wildlife Service)の絶滅危惧種リストに加わった。絶滅寸前となってしまった主な原因は、野ヤギや野ヒツジです。。人間がハワイに持ち込んだ動物に食べられてしまったのです。


これまでに採集した種から繁殖させた固体を1000以上植えて、絶滅しないように努力しています。。2005年には9年越しに野生の個体が花を咲かせました。保護増殖のため、その固体から10万個以上の種を集めることができたそうです。


 しかし、本来ギンケンソウの生息地であるはずの場所は、ハワイ州政府の管轄下ですが、野ヤギや野ヒツジがいますし、ムレイン(Verbascum thapsus、和名:ビロウドモウズイカ)という帰化植物が広範囲に繁殖しているので、マウイ島ハレアカラ国立公園のような努力(フェンスを張ったり、帰化植物をコントロールすることなど)が必要です。

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長谷川 久美子

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